名刺やDM、パッケージ台紙に使う紙を選ぶとき、「和の落ち着きを出したいけれど、和紙ほど主張の強い紙は避けたい」と迷ったことはありませんか。い織りは、庵(いおり)の壁のような自然素材を思わせるエンボスをほどこしたファインペーパーです。柄として目立ちすぎない繊細な凹凸と、全27色という色数の多さが持ち味で、和にも洋にも寄せられる中間的な立ち位置にあります。この記事では、基本スペック、オンデマンド印刷での使い勝手、100kgと170kgの選び分け、色の絞り込み方、よく比較される紙との違いまでを順に整理します。読み終えるころには、ご自身の用途に合う連量と色が決められるはずです。
い織りとは?基本スペックと名前の由来
まずはい織りがどんな紙なのかを押さえます。分類・シリーズ・取り扱い規格という基本情報を先に知っておくと、このあとの連量選びや色選びで迷いにくくなります。ここでは紙もっと!の商品情報で確認できる事実だけを整理してお伝えします。
基本情報(メーカー・分類・特徴)
い織りは、表面に自然素材のような凹凸をつけたエンボス調のファインペーパーです。紙もっと!では100kgと170kgの2連量を取り扱い、サイズはA4・A3・SRA3・B4の4種類、包装は30枚・50枚・100枚から選べます。色は全27色。なおプラチナホワイトのみ微塗工品で、ほかの色とは表面の状態が異なります。少部数から購入できるため、名刺やカードのように枚数が読みにくい制作物でも扱いやすい紙です。
名前の由来とコンセプト
「い織り」という名は、庵(いおり)の壁のような自然の素材を感じさせる表情に由来します。多様なエンボスとカラーの組み合わせからなるT-EOS(ティオス)シリーズの一つで、同じシリーズにはハンマートーンGAやICHIMATSUなども並びます。細い線が織り重なるような凹凸は、和の静けさを感じさせながら、洋のデザインにもなじむ中庸さが特徴です。
い織りが選ばれる3つの理由
選ばれる理由は大きく3つあります。1つめは主張しすぎない凹凸で、触れて分かる程度の陰影がありながら文字の可読性を損ないません。2つめは27色という色数の幅。淡い中間色から濃色、「極」シリーズまでそろい、ブランドカラーに寄せやすい構成です。3つめは100kgと170kgで役割を分けられること。冊子系のツールと名刺・パッケージ系のツールを、同じ表情でそろえられます。

い織りのオンデマンド印刷適性とおすすめ活用法
オンデマンド印刷でエンボス紙を使うとき、気になるのは「凹凸にトナーがきちんと乗るのか」という点だと思います。ここでは紙のソムリエとして実際に刷り上がりを見てきた経験から、い織りで気をつけたい点と、向いている用途を整理します。
発色とトナー定着の実際
エンボス紙全般に言えることですが、凹凸のある紙はベタ面で凹部の色が薄く見えることがあります。い織りの凹凸は深すぎないため極端な白抜けは起きにくい一方、広い面積をベタで塗るデザインでは、狙った色より一段落ち着いて仕上がると考えておくと安全です。逆に文字や線画は凹凸の影響を受けにくく、名刺やカードのように情報量を絞ったデザインとは相性の良い紙です。本番前の試し刷りは必ず行ってください。
主な活用シーン
紙もっと!では、100kgをリーフレットやポスター、170kgをDM・表示物・名刺・カード・パッケージ台紙向けとして案内しています。たとえば和菓子店のショップカード、日本茶や日本酒まわりのラベル台紙、旅館やギャラリーの案内状など、落ち着いた質感が求められる場面で選びやすい紙です。
紙のソムリエが現場で見た使われ方
実際に手に取ると、い織りの凹凸は指の腹でようやく分かるくらいの繊細さです。そのため箔押しや空押しと組み合わせた使われ方をよく見かけます。凹凸のある地に対して箔の平滑な面が対比になり、面積が小さくても存在感が出るためです。あい・黒・濃緑などの濃色に白インキや箔を合わせる構成も、和の落ち着きを保ったまま情報を目立たせられるので、名刺やカードでよく選ばれています。




い織りの厚さ・連量の選び方
「100kgと170kg、どちらを選べばいいのか」は、い織りで最も多い迷いどころです。ここでは連量という言葉の意味から、用途別の目安、迷ったときの判断基準までを順に説明します。読み終えたら、ご自身の制作物に合う連量が決められるはずです。
連量とは(初心者向け補足)
連量とは、同じサイズの紙を1,000枚重ねたときの重さをkgで表した数値です。数字が大きいほど厚い紙になります。基準となる原紙サイズ(四六判や菊判など)は銘柄ごとに決まっているため、別の銘柄の連量と数字だけを単純に比べることはできません。い織りの場合は、100kgと170kgという2つの選択肢の中で相対的に考えれば十分です。
用途別の連量早見表
| 連量 | 紙もっと!での主な用途案内 | 厚みの位置づけ |
|---|---|---|
| 100kg | リーフレット、ポスター | 折って使いやすい薄さ |
| 170kg | DM、表示、名刺、カード、パッケージ台紙 | 手に取ったときに自立する厚み |
迷ったときの選び方
判断の軸はシンプルで、折る・広い面で見せるなら100kg、単体で手に取ってもらうなら170kgです。リーフレットやポスターのように面で見せるものは100kg、名刺・ショップカード・パッケージ台紙のように質感を確かめてもらうものは170kgが扱いやすい厚みになります。用途がカード類なら170kgと覚えておくと、大きく外すことはありません。

い織りの風合いと色展開
い織りを選ぶ最後の決め手になるのは、「手ざわり」と「色」です。ここでは実際に触れて分かる質感と、27色をどう絞り込んでいくかの考え方をお伝えします。色選びで立ち止まっている方は、この章から読んでも構いません。
手ざわりと質感
い織りの表面は、細かな線が織り重なったような凹凸です。指を滑らせると、ざらつきというよりやわらかな引っかかりを感じる程度で、ラシャ系の起毛感やレザック系のはっきりした布目とは印象が異なります。光が当たると凹凸が細かい陰影をつくり、同じ色でも見る角度で表情が変わります。マットで落ち着いた見え方をするため、和の題材にも、余白を活かしたミニマルなデザインにもなじみます。
色のラインナップと選び分け
い織りは全27色。スノーホワイト・スモークホワイト・プラチナホワイトといった白系、あさぎ・みずあさぎ・せいじ・苔・藤などの淡い和名の中間色、あい・黒・濃緑・しんく・紫といった濃色、さらに極・焦茶/極・緑/極・紫の「極」シリーズまでそろいます。文字を主役にしたいなら白系〜淡色、紙そのものを主役にしたいなら濃色や極シリーズという分け方が実用的です。なおカラーチャートと実際の紙の色には差がありますので、色が仕上がりを左右する案件では現物での確認をおすすめします。


い織りとよく比較される紙との違い
い織りを検討している方は、同じく質感やエンボスが魅力の紙とも並べて悩まれることが多いです。ここでは紙もっと!で取り扱いのある3銘柄と比べ、どんなときにい織りを選ぶとよいかを整理します。いずれも商品ページで確認できる情報にもとづく比較です。
比較表
| 銘柄 | 表面の特徴 | 紙もっと!での主な用途案内 |
|---|---|---|
| い織り | 庵の壁のような自然素材を思わせるエンボス | 100kg:リーフレット、ポスター/170kg:DM、表示、名刺、カード、パッケージ台紙 |
| ハンマートーンGA | 槌で細かく叩いたような優しい打ちつけ模様のエンボス | 質感を求める名刺やDMなど |
| ICHIMATSU | 正方形が繰り返す幾何学的な凸凹感 | 和を感じさせるDMやリーフレット |
| NTラシャ | 羅紗を思わせる緻密で温かい肌触り(コットンパルプ配合) | 100kg:便せん、リーフレット、冊子用ページ/130kg:表紙、ポストカード、タグ、DM |
使い分けの目安
柄としてはっきり見せたいならICHIMATSU、打ちつけ模様の陰影を強めに出したいならハンマートーンGA、凹凸ではなく起毛したやわらかい肌ざわりを求めるならNTラシャ。そのうえでい織りは「柄と認識されない程度の繊細な凹凸」がほしいときの選択肢になります。ハンマートーンGAとICHIMATSUはい織りと同じT-EOSシリーズなので、シリーズ内で表情だけを変えたい場合の比較対象としても考えやすい組み合わせです。
い織りのよくある質問
最後に、い織りについて実際によくいただく質問をまとめます。色数・連量・購入単位といった、購入前に確認しておきたい点を中心に整理しましたので、気になる項目からご覧ください。
Q. い織りは何色から選べますか
紙もっと!では全27色を取り扱っています。淡い中間色から濃色、「極」シリーズまで幅があるため、ブランドカラーに近い色を探しやすい構成です。ただしカラーチャートと実物の色には差がありますので、色の再現がシビアな案件では現物で確かめてから決めてください。
Q. 名刺に使うならどちらの連量ですか
170kgです。紙もっと!でも170kgをDM・表示・名刺・カード・パッケージ台紙向けとして案内しています。100kgはリーフレットやポスターなど、折ったり広い面で見せたりする用途に向いた薄さです。
Q. 小ロットでも購入できますか
できます。包装単位は30枚・50枚・100枚から選べるため、名刺100枚分のような小さな制作でも無駄が出にくいです。サイズはA4・A3・SRA3・B4の4種類から選べます。
Q. プラチナホワイトだけ質感が違うと聞きました
その通りで、プラチナホワイトは微塗工品です。ほかの色とは表面の状態が異なるため、同じデザインを複数色で展開する場合は、プラチナホワイトだけ仕上がりの印象が変わる可能性を見込んでおいてください。
まとめ:い織りはこんな方におすすめ
- 和の落ち着きを出したいが、和紙ほど主張の強い紙は避けたい方
- 触れて伝わる程度の繊細なエンボスを求めている方
- ブランドカラーに近い色を全27色から選びたい方
- 名刺・カードとリーフレットを同じ表情でそろえたい方
- 箔押しや空押しと組み合わせて高級感を出したい方
- 30枚単位の小ロットで質感のある紙を試したい方
い織りの購入は紙の通販専門店「紙もっと!」で
い織りは紙の通販専門店紙もっと!で、100kgと170kgの2連量、全27色から購入いただけます。サイズはA4・A3・SRA3・B4、包装は30枚・50枚・100枚単位なので、名刺やショップカードのような小さな制作物にも対応できます。ほかの質感系の紙とも見比べたい方は、ファンシーペーパー(ホワイトベース)のカテゴリもあわせてご覧ください。

紙のソムリエ 五十嵐 広治(いがらし こうじ)
日本洋紙板紙卸商業組合 認定「紙営業士」
株式会社立川紙業/ECサイト「紙もっと!」管理人
紙とともに育ち、紙を愛し、紙の魅力を伝えることを仕事にしています。
現在は、株式会社立川紙業にて以下を中心に活動中
・ECサイト「紙もっと!」の企画・運営
・コーポレートサイト/ブログの制作・更新
・InstagramやYouTubeなどSNS運用による情報発信
全国の印刷会社・デザイナー・個人ユーザーに向けて、紙の楽しさ・奥深さを日々発信しています。
